SQLとは、「Structured Query Language(構造化問い合わせ言語)」の略称で、リレーショナルデータベース(RDB)に情報を格納したり、検索したりする言語です。
どうやってやるのか、実際手を動かしてみないと、、ということで、SQLの使い方を紹介していきたいと思います!
PythonでSQLを操作してみます💡
SQLの基本的な命令(テーブル作成、データ追加、データの抽出)を使えるようになりましょう。
1. SQLのデータベースの種類
2. SQLの使用を学ぶ準備 Pythonの環境構築
3. テーブルの作成
4. データの挿入
5. データの取り出し
5.1 全データを表示
5.2 特定の列を選択
5.3 条件に合うデータを抽出
5.4 補足:データの並べ替え
6. まとめ
1. SQLのデータベースの種類
前回の情報Ⅰの記事では多くの情報を整理・保管する重要な仕組みであるデータベースについて学びました。

SQLを使ってデータを操作するデータベースには、主な2つのタイプ、サーバー型と組み込み型があります。
◆サーバー型データベース(例: MySQL, PostgreSQL)
・サーバーが必要:データ管理機能のあるデータベースサーバーが動いていて、データを一元管理しています。
・ネットワーク経由で接続:自分のPCやスマートフォンから、ネットワークを通じてこのサーバーに接続し、必要なデータを受け取ります。
・複数人での利用OK: たくさんの人がアクセスしても、トランザクションやロックなどの仕組みでデータ不整合になるのを防ぎます。
(例 オンラインストア(ECサイト)、SNS、銀行のシステムなど)
◆組み込み型データベース(例: SQLite)
・サーバーは不要: データベースの機能がアプリケーションやプログラムの中に直接組み込まれています。
・手元で完結: ネットワーク接続は必要ありません。自分のPCやスマートフォンの中だけで、データの保存から読み書きまで全てが完結します。
・個人利用や小規模な用途が得意: 複数からのアクセスがある場合には向きません。セットアップが不要で、手軽かつ高速に動作します。個人用のデータや、アプリの設定を保存するといった場面で大活躍します。
(例 スマートフォンアプリのセーブデータ、Webブラウザの一時的なデータ保存など)
SQLite https://www.sqlite.org/index.html
データーベース型がちがってもSQLの命令はほとんど同じなので、今回は組み込み型DBであるSQLite(エスキューライト)を利用して、SQLの使い方を学びます!
2. SQLの使用を学ぶ準備 Pythonの環境構築
Pythonと、ウェブブラウザ上でプログラミングを実行できるGoogle Colaboratory (Colab) を用いて、SQLの基礎を実践的に体験していきます。
ColabでのPython使い方については、以下の記事をご確認下さい。

💡PythonでSQLを学ぶ利点
・Pythonプログラム内でSQLを実行するため、プログラミングの学習にも繋がる!
・SQLの情報をPythonで取り扱うことで、データ取得後の作業がスムーズに!データ処理の効率化や、データ解析、アプリケーション開発、などにもつなげやすい!
Pythonには、SQLiteを容易に操作するための機能(モジュール)が標準で組み込まれているため、追加の準備なしにすぐ利用を開始できます。
※Pythonの構文も活用しつつ、SQL文も使用するので、注意は必要です💡
まず、Colabの新しいセルに以下のPythonコードを入力します。これは、PythonでSQLiteを利用することを宣言し、データベースへの接続準備を行うコードです。
# sqlite3モジュールをインポート import sqlite3 # データベースに接続 ※1 conn = sqlite3.connect(':memory:') # SQLを実行するための「カーソル」オブジェクトを取得 ※2 cursor = conn.cursor()
※1 :memory: という指定は、ファイルとして保持されない、プログラムの実行中のみ存在する一時的なデータベースをメモリ上に作成します。
※2 カーソル(cursor)は、命令(SQL文)をデータベースに伝え、データベースで実行された結果を受け取る役割があります。
sqlite3にconnect(‘:memory:’)する ➢ conn
connというデータベース接続オブジェクトの、cursor()という機能を実行する conn.cursor() ➢ cursor
3. テーブルの作成
データベースでは、情報をテーブル(表)形式の構造で整理します。
★SQL テーブルの作成:
CREATE TABLE テーブル名 (
列名1 型,
列名2 型,
列名3 型, …);
例として、簡単な「ともだちリスト (friends)」テーブルを作成します。このテーブルには、名前 (name) と年齢 (age) の情報を記録できるようにします。
# テーブルを作成するためのSQL文(Pythonでは文字列として記述します)
sql_create_table = """
CREATE TABLE friends (
id INTEGER PRIMARY KEY, -- 各友達を一意に識別するための番号(主キー)
name TEXT, -- 名前(文字列データ)
age INTEGER -- 年齢(整数データ)
);
"""
# SQL文の実行
cursor.execute(sql_create_table)
# データベースへの変更を確定
conn.commit()
Pythonでは、#~は、コードとして認識されず、#以降はコメントとして使用できました。
SQLでは、データベースシステムによって#に対するルールが異なります。–は、どのデータベースシステムでも–以降はコード認識なく、コメントとして使えます。SQL文でコメントを入れる際は、–を使用してください。
このSQL文(上記緑字部分)では、以下の列(フィールド)を持つテーブルfriendsを設計しました。
・id:各レコードを一意に識別するための番号で、「主キー (PRIMARY KEY)」として設定します。データ型は整数 (INTEGER) です。
・name:名前を記録するための列で、データ型は文字列 (TEXT) です。
・age:年齢を記録するための列で、データ型は整数 (INTEGER) です。
4. データの挿入
テーブルが作成できたら、次に実際のデータをテーブルに挿入します。
★SQL データの挿入:
INSERT INTO テーブル名 (列名1, 列名2, …)
VALUES (値1, 値2, …);
#「friends」テーブルにデータを追加するSQL文 sql_insert_data1 = "INSERT INTO friends (name, age) VALUES ('山田 太郎', 16);" sql_insert_data2 = "INSERT INTO friends (name, age) VALUES ('佐藤 花子', 17);" sql_insert_data3 = "INSERT INTO friends (name, age) VALUES ('鈴木 一郎', 16);" sql_insert_data4 = "INSERT INTO friends (name, age) VALUES ('田中 次郎', 18);" #SQL文をそれぞれ実行します cursor.execute(sql_insert_data1) cursor.execute(sql_insert_data2) cursor.execute(sql_insert_data3) cursor.execute(sql_insert_data4) #データベースへの変更を確定します conn.commit()
文字列データはシングルクォーテーション ‘ ‘ で囲みます。
5. データの取り出し
データベースからデータを取り出してみます。SELECT文を使用します。
5.1 全データ表示
★SQL 全データ表示:
SELECT *
FROM テーブル名;
sql_select_all = """ SELECT * FROM friends; """ #SQL文を実行し、結果を取得します cursor.execute(sql_select_all) all_friends_data = cursor.fetchall() # 全ての結果行をリストとして取得します print("--- ともだちリスト (全件) ---") for friend_record in all_friends_data: print(f"ID: {friend_record[0]}, 名前: {friend_record[1]}, 年齢: {friend_record[2]}")
## 出力結果 #--- ともだちリスト (全件) --- #ID: 1, 名前: 山田 太郎, 年齢: 16 #ID: 2, 名前: 佐藤 花子, 年齢: 17 #ID: 3, 名前: 鈴木 一郎, 年齢: 16 #ID: 4, 名前: 田中 次郎, 年齢: 18
cursor.fetchall() メソッドは、検索結果の全行をリスト形式で返します。リストの各要素は一行分のデータ(Pythonではタプルという形式)です。
5.2 特定の列を選択
★SQL 列指定:
SELECT 列名1, 列名2, …
FROM テーブル名;
「名前と年齢の列だけが見たい」とします。
sql_select_name_age =""" SELECT name, age FROM friends; """ cursor.execute(sql_select_name_age) name_age_records = cursor.fetchall() print("--- ともだちリスト (名前と年齢のみ) ---") for record in name_age_records: print(f"名前: {record[0]}, 年齢: {record[1]}")
## 出力結果 #--- ともだちリスト (名前と年齢のみ) --- #名前: 山田 太郎, 年齢: 16 #名前: 佐藤 花子, 年齢: 17 #名前: 鈴木 一郎, 年齢: 16 #名前: 田中 次郎, 年齢: 18
5.3 条件に合うデータを抽出
★SQL 条件指定のデータ抽出:
SELECT 列名1, 列名2, …
FROM テーブル名
WHERE 条件;
「年齢が16歳の友達の情報だけを見たい」とします。
sql_select_where_condition =""" SELECT name, age FROM friends WHERE age = 16; """ # 年齢が16という条件 cursor.execute(sql_select_where_condition) friends_age_16 = cursor.fetchall() print("--- ともだちリスト (16歳限定) ---") for record in friends_age_16: print(f"名前: {record[0]}, 年齢: {record[1]}")
## 出力結果 #--- ともだちリスト (16歳限定) --- #名前: 山田 太郎, 年齢: 16 #名前: 鈴木 一郎, 年齢: 16
ここでは age = 16 とすることで、「年齢が16である」という条件を指定しました。
📢 条件の書き方(比較演算子)例
・WHERE age > 17 (17歳より大きい(18歳以上))
・WHERE age < 20 (20歳未満)
・WHERE age >= 18 (18歳以上)
・WHERE age <= 16(16歳以下)
・WHERE age != 16 あるいは WHERE age <> 16(16歳ではないデータのみ)
5.4 補足:データの並べ替え
★SQL データの並べ替え:
SELECT 列名1, 列名2, …
FROM テーブル名
ORDER BY 列名 ASC; —昇順 降順の場合はDESC
取得した結果を特定の順番(例えば年齢の昇順や降順)に並べ替えたい場合は、ORDER BYを利用します。
sql_select_orderby_age = """ SELECT name, age FROM friends ORDER BY age ASC;""" # 年齢の昇順 (ASC) cursor.execute(sql_select_orderby_age) sorted_friends_list = cursor.fetchall() print("--- ともだちリスト (年齢順に並び替え) ---") for record in sorted_friends_list: print(f"名前: {record[0]}, 年齢: {record[1]}") # 降順(値が大きい順)にしたい場合は DESC を指定します。 # 例: sql_select_orderby_age_desc = "SELECT name, age FROM friends ORDER BY age DESC;"
SQLの基本的なデータの取りだしを学びました。
他にも、Pythonの公式サイトにSQLiteのチュートリアルありますので、こちらもご参考にされてください💡

6. まとめ
今回は、PythonとGoogle Colaboratoryを用いて、データベース言語SQLの基本的な操作を実践的に学びました。
・SQLは、データベースから情報を取り出したり、データを管理したりするための強力な言語である
・Pythonの sqlite3 モジュールを利用することで、Google Colabのような環境でも手軽にデータベースを作成し、SQLを実行できることを体験しました。
CREATE TABLEでデータのテーブルを設計し、INSERT INTO でデータを格納、そしてSELECT (FROM, WHERE, ORDER BYなど) を用いて柔軟にデータ検索を行うという、一連の基本的な流れを実践できました。
SQLを扱えるようになることは、大量のデータの中から必要な情報だけを効率的に抽出し、活用するための重要なスキルです。現代社会では、データを効果的に利用する能力が一層求められています。
今回の学習が、皆さんのSQLとPythonを用いたデータ活用への第一歩となり、更なる興味や探求心に繋がることを願っています。
◆情報Ⅰ+確認クイズ(毎週月曜配信予定)
◆情報Ⅰ×プログラミング(月2回配信予定)
◆情報Ⅰプログラミング×化学(月2回配信予定)



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