ウェルビーイングと統計 ー血圧が高い①、減塩と血圧の臨床文献ー

ウェルビーイング

「ウェルビーイング(well-being※)」
※身体的・精神的・社会的に良好な状態。“心と体と社会がいい状態”
https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/97725/social_contributions

ウェルビーイングと統計の関係
身体的・精神的な健康度合いをどのように計測すればよいでしょうか。また、そもそも「幸福感」や「良い人生」は、定量化できるでしょうか。
一筋縄ではいかない気もしますが、幸福度調査や健康関連データを統計解析することで、ウェルビーイングを分析することが可能かもしません。
ウェルビーイングに関する統計データは、公衆衛生や福祉政策にも利用されています。
Well-beingに関する取組(内閣府)https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/index.html

ウェルビーイングと統計について、勉強したことを書いていきます!

カラダ(身体)の健康について

1. 血圧とは? 高血圧症 正常高値血圧も注意
血圧は、心臓が血液を送り出す際に血液が血管に及ぼす圧力を示します。
通常、血圧は以下の2つの数値で表されます。
・収縮期血圧: 心臓が収縮して血液を全身に送り出した際に血管壁にかかる圧力(最高血圧、上の血圧)
・拡張期血圧: 心臓に血液をため込んでいるときの圧力(最低血圧、下の血圧)
通常、収縮期血圧が140 mm Hg以上、または拡張期血圧が90 mm Hg以上の場合、高血圧症と診断されます。
収縮期130~139 mm Hg, 拡張期85~89 mm Hgの正常高値血圧は、高血圧症への移行が懸念され、要注意とされています。
高血圧症へは無症状で進行することが多く、放置すると心臓病や脳卒中などの深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
定期的な血圧モニタリングと健康的な生活習慣の確立は、高血圧症についての理解と予防に不可欠です。
2.高血圧症有病者(令和元年度 国民健康・栄養調査)
以下に、令和元年の国民健康・栄養調査によって報告されています高血圧症有病者割合について図にしました。

令和元年国民健康・栄養調査 第55表 高血圧症有病者の状況 – 高血圧症有病者の状況,年齢階級別,人数,割合 – 総数・男性・女性,20歳以上
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html
※令和2-3年は新型コロナウイルス感染のため、調査中止
※「高血圧症有病者」の判定  収縮期血圧140mmHg以上,または拡張期血圧90mmHg以上,もしくは血圧を下げる薬を服用している者
上記の図の20歳以上の総数をみると、その半数近くが高血圧有病者であり、年齢が上がるにつれてその割合も高くなっています。
高血圧は、日本人の生活習慣病死亡に最も大きく影響する要因の一つと言われており、その対策や予防は急務とされています。




3.対策 減塩による血圧低下の臨床試験紹介
高血圧症と診断されたら、降圧薬の服用などを行います。
高血圧症や、正常高値血圧の場合の対策については、減塩などの食事管理が推奨されています。
”減塩”について、簡単に紹介します。
・減塩目標
食塩摂取の目標は、「健康日本21(第二次)」の目標値では8g未満、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の目標量では、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。また、日本高血圧学会は、高血圧患者における減塩目標を1日6g未満にすることを強く推奨しています。
参考サイト e-ヘルスネット(厚労省) https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html
・減塩による血圧低下への効果 臨床文献(メタアナリシス)
He F J, Li J, MacGregor G A. Effect of longer term modest salt reduction on blood pressure: Cochrane systematic review and meta-analysis of randomised trials BMJ 2013; 346 :f1325 doi:10.1136/bmj.f1325
https://www.bmj.com/content/346/bmj.f1325
― 長期的で適度な食塩摂取の影響を血圧、ホルモン、および脂質についての調査で、34のランダム化試験(3230名の参加者)についてのメタアナリシス。
― 食塩摂取の減少によって尿中ナトリウムが平均で−75 mmol/24 h(食塩4.4 g/日の減少に相当)となり、これにより収縮期血圧は−4.18 mm Hg(95%信頼区間−5.18から−3.18、I2=75%)、拡張期血圧は−2.06 mm Hg(−2.67から−1.45、I2=68%)低下。
― 減塩によるホルモンおよび脂質には有意な変化は見られず、血圧低下。
⇒長期的な減塩と血圧低下に関する複数の臨床論文をメタアナリシスされ、減塩による血圧低下に関する具体的な数値を算出されています。

※統計解析
― 各試験においてアウトカムの治療効果を算出。治療効果の分散は、並行試験では各群のベースラインから追跡終了までの標準偏差または標準誤差から、クロスオーバー試験では両治療期間の信頼区間やt値、P値から算出。
― 平均効果サイズの評価は逆分散法を用い、I2検定で異質性を検査(I2>50%が重要)。
― 異質性の原因を探るために、収縮期および拡張期血圧変化の逆分散によって重み付けしたメタ回帰分析を実施。
― 24時間尿中ナトリウム変化と血圧変化との関連をメタ回帰分析で調査。
― 出版バイアスはファンネルプロットとEggerの回帰テストで確認。
― Cochrane Collaboration RevMan 5.1ソフトウェアおよびSPSSを使用。

詳細については、論文をご参照ください。

この文献の報告も含め、減塩による血圧の低下についての臨床報告は複数あります。
統計解析から減塩による血圧低下への効果や推奨数値などが決められています。




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